白色専従者の預金は、相続財産になるのか?

白色専従者の預金は相続財産になるのか?

例えば長年事業を営んでいるAが死亡したとします。Aの妻Bは、その事業を白色専従者として手伝っていたとします。この場合、Bの預金は名義預金として相続財産の対象となるのでしょうか?それともB自身の財産として対象にはならないのでしょうか?

白色申告の場合、事業主の配偶者に支払われる給与の金額は、経費にはなりません。経費にはなりませんが、その配偶者(例ではB)の給与を否定することにはなりません。配偶者の給与の金額が同業者からみて妥当であれば、給与として蓄積された預金は配偶者自身のものです。

配偶者(B)の勤続年数や生活及び趣味などに照らし合わせ、その預金金額が適正であれば、配偶者名義の預金は本人に帰属するものと考えられます。
つまり、税務経費性があるかどうかという問題と名義預金になるかどうかという問題は別個のものということです。白色申告の専従者給与が経費となっていないことを理由に、その配偶者の蓄積された預金が名義預金として相続税の対象になる、というわけではないのです。

名義預金になるか否かの判定

名義預金になるか否かの判定

相続が開始されると、相続人の多くは名義預金の問題に直面します。名義は確かに相続人で、被相続人名義ではない。しかし、この預金のお金を出したのは、被相続人(亡くなった人)だ。いったい何を基準に、名義預金になるのか明確な判定基準があればいいのに・・・と思われるはずです。そこで税理士 舩橋信治 がその判断基準を判例をもとに考えました。よろしければご参考になさってください。そして、それでも名義預金か否かの判断がつかない場合には、お気軽にお電話をください。

名義預金になるか否かの判定基準

① その預金のお金を出したのは誰ですか?

その預金を作るために、初めにお金を出した人は誰でしょうか?例えば専業主婦や幼児でしたら、お金を稼いでいないですね。そうなると正式な贈与手続きを経ていない場合には、それは名義預金の可能性が高いということになります。

② その預金の管理及び運用の状況は?

その通帳は、誰が管理していますか?相続人名義の預金でも、その通帳管理を被相続人がおこなっていたり、通帳印が被相続人のものだったりしますと、名義預金の可能性が高くなります。またキャッシュカードを被相続人が持っていて、頻繁に被相続人がお金を引き出していたとなると、やはり名義預金と判断されます。

③ その預金から生ずる利益の帰属者

預金なので当然に利息が発生します。その利息を実際には、誰が享受しているのかという点がみられます。また預金を使って株式投資などの資産運用をしていれば、その利益は実際に誰が享受しているのかという点もみられます。

④ 被相続人と当該預金の名義人の関係

例えば、被相続人が親で名義人が子供であるなど、預金を簡単に預け入れることが出来る関係である場合には、その預金が名義預金でないことを示す客観的な事実の有無が名義預金になるか否かのポイントとなります。

⑤ 被相続人と当該預金の管理をする者との関係

上記④にちかい内容となります。被相続人と当該預金の管理をする者との関係が、そもそも生活費を支援するような関係である場合には、名義預金でないことの客観的事実の有無が、その名義預金の判定に、よりいっそう求められることになります。

⑥ 当該預金の名義人となった経緯

その預金が形成される過程で、贈与の手続きは行われているのか、また、名義人は当該預金の存在を知っていたのかなどが判定基準となります。名義人に当該預金の原資を獲得する資力があったのか、口座開設手続きは誰が行なったのかという点も重要です。

 

【最後に】
名義預金になるかどうかをフローチャートで判定するような解説も見受けられますが、実際には総合的に判断しますので、複雑な問題だけに、フローチャートを作成することは、しませんでした。

相続相談でも名義預金の相談は、最も多いです。それだけ名義預金の判定は、複雑でわかりづらいということですね。お一人で解決できない場合には、税理士 舩橋信治 までお気軽にお電話ください。

【舩橋信治税理士事務所】
住所 〒485-0075 愛知県小牧市三ッ渕772番地2
電話 0568-42-2880 ファックス0568-41-7446
メールアドレス funahashi_shinji@tkcnf.or.jp

被相続人の親族名義の定期預貯金は、相続財産であるとした事例。

難解な判決を税理士 舩橋信治 がわかりやすく要約しております。お気軽にお読みください。

判決:東京地方裁判所

判決年月日:平成26年4月25日

判決事項:被相続人の親族名義の定期預貯金は、相続財産であるとした事例。

 

【判決要旨】

被相続人は、相続税対策として、毎年のように、贈与税の非課税限度額以内で、被相続人の親族Aの名義で預貯金の預け入れを行っていた。
しかし、証書は、被相続人自身の手元に保管してAら親族に交付していなかった。
親族Aらに具体的な資金需要が生じるなら、必要に応じてこれを解約する予定であったとみられる。
また被相続人自らも使用することを予定していたとみるべきである。
将来の預け入れ金額を、直ちにAら親族に贈与するという確定的な意思があったとは認められない。
以上によれば被相続人が、その生前において、Aらに対し、Aら名義の定期預貯金を贈与したと認めることは出来ない。
そのため、これらの預貯金は被相続人の相続財産に帰属するものというべきである。

 

【税理士 舩橋信治のコメント】

上記判決にありますように、名義預金になるか否かの判定で、「証書を誰が保管していたのか」、という事実は重いということです。
被相続人にしてみたら、ちゃんと計算して贈与税の非課税限度額以内で、Xらの定期預貯金を預け入れていたわけですから、これを名義預金と言われたら納得がいかないかもしれません。
Xらが自らのために解約し、その定期預貯金を使用していたら、随分と状況は違っていたことでしょう。
またXらの定期預貯金を、被相続人自身が使用することを予定していたのは、名義預金になるさらなる強い理由となってしまいます。
いっそのこと贈与契約書を作成して、贈与申告をしておいた方がよかったかもしれませんね。
子どものために、昔からコツコツと定期預金を積み立てられている親御様は多いと思います。保管や使用状況・贈与申告・贈与契約などに留意して、名義預金とならないように注意していただきたいと思います。
具体的な疑問が解消できない場合には、相続に強い税理士 舩橋信治 にお気軽にご相談ください。

名義預金であるか否かの判断基準

それでは、難解な判決を税理士 舩橋信治 がわかりやすく要約して解説いたします。お気軽にお読みください。

判決:東京地方裁判所

判決年月日:平成20年10月17日

判決事項:被相続人以外の者の名義である預金等が相続財産であるか否かの判断基準。

 

【判決要旨】

ある財産が被相続人以外の名義となっていたとしても、当該財産が相続開始時において被相続人に帰属するものであったと認められるものであれば、当該財産は相続税の課税対象となる。
被相続人以外の者の名義である財産が、相続開始時において被相続人に帰属するものであったか否かは、以下のポイントで判断する。
① 当該財産の出捐者(お金の原資)
② 当該財産の管理及び運用の状況
③ 当該財産から生ずる利益の帰属者
④ 被相続人と当該財産の名義人の関係
⑤ 被相続人と当該財産の管理運用する者との関係
⑥ 当該財産の名義人がその名義を有することとなった経緯
上記のポイントを総合考慮して判断するのが相当である。

 

【税理士 舩橋のコメント】

上記のように判決では、どのようなポイントに着眼して名義預金になるか、ならないかを判断するのかを、明確に示してくれております。

ただし、難しいのは最後の総合的に判断するということです。一点を見て、単純に判断するわけではないので、多くの要素を鑑みて判断するということですから、そこらへんは経験というか直観みたいなものも多少は含まれてきますね。

例えば上記ポイントの②と③は、事後的に事実が積み上げられるものであります。今後の運用の仕方次第では、やがてむかえる相続開始時に名義預金とならないようにすることも可能かもしれません。

そして、総合的に判断して名義預金になるということであれば、早急に贈与申告をするという選択肢も出てきます。

判断に迷われる場合には、お気軽に税理士 舩橋信治 にご相談ください。

相続の税務調査の経験が豊富ですので、経験をもとにお話しをさせていただきます。

 

 

妻名義の預金等が相続財産に該当するとした事例

次の判決を見てみます。難解な判例をわかりやすく要約していますから、安心してください。

判決:東京高等裁判所

判決年月日:平成21年4月16日

判決事項:被相続人の妻名義である預金等が相続財産に該当するとした事例

 

【判決要旨】

日本においては、夫が自己の財産を扶養する妻名義の預金で保有するのは珍しくない。被相続人Aの妻であるBの預金の帰属の判定において、B名義であることをもってBの所有であると断じることはできない。
Bは、本件B名義預金を自ら管理運用している。
しかし、BはA名義の有価証券及び現預金についても運用管理している。
そうなると本件B名義預金が、Aでなく、Bに帰属するものであったことを示す決定的な要素があるとはいえなくなる。
本件B名義預金の原資は、Aが出したものである。Aは、自分が死んだ後にBが金銭的な面で不自由をしないように、自己に帰属する財産をB名義にしておこうと考えたとしても、不自然ではない。
実際に、生前贈与をした土地建物の持分については贈与契約書を作成し、贈与申告書を提出している。
本件B名義預金については、そのような手続きを何ら採っていない。Bが本件B名義預金を解約して他の用途に使用するなどという事業はうかがわれない。
それらを併せ考えると、B名義預金は、なおAに帰属する財産であると認めるのが相当である。

 

【税理士 舩橋のコメント】

こんかいの判決のように妻の預金が名義預金になる可能性がある方は、多いのではないかと思います。
特に専業主婦であった場合には、妻名義預金の原資は夫の収入しかありえないため、それは夫の預金であり相続財産になるのではないかと考えてしまうのも仕方ありません。
しかし、この判決では妻の預金が名義預金となるポイントを示してくれております。
まずは妻名義の預金を妻自身が、主導的な立場で運用しているかどうか、そうでないなら名義預金の可能性が強まる。
さらに妻がその預金を解約して他の用途に使用するなどの事実があるかどうか、ないならば名義預金の可能性が強まる。
確実に相続財産にならないようにするためには、贈与契約書を作成し、贈与申告をするという手続きを採る必要があります。ご参考にしてください。

名義預金になるか、ならないか、これは総合的に判断しますので、お悩みの場合には、税理士 舩橋信治 にご相談ください。

 

親族名義預金が相続財産に当たるとされた事例

どういったものが名義預金になるのでしょうか

難解な判決を、とても読みやすく解説しております。それでは、判決をもとに確認してみましょう。

判決:大阪地方裁判所
判決年月日:平成23年12月16日
判決事項:親族名義預金等が相続財産にあたるとされた事例

 

【判決要旨】

親族名義預金の原資となった財産は、被相続人の事業収入等であった。被相続人の固有財産によって親族名義預金が形成された。

本件親族名義預金等に係る口座届出印や通帳等は、貸金庫において保管されており、貸金庫の名義が被相続人からAに変更された以降も、貸金庫を被相続人が管理していた。

親族名義預金から各名義人が預金を引き出したことを示す証拠はなく、親族名義の定期預金の満期到来時の預け替えや親族名義預金の解説届出を被相続人が行なっている。

それらを併せて考えると、本件相続開始までは、本件親族名義預金等を管理運営していたのは被相続人と認められる。各名義人に対して贈与されたものであるということはいえない。

本件親族名義預金等は、被相続人の相続財産である。

 

【税理士 舩橋のコメント】

この判決では、どういった状況になると名義預金と認められるかが明確に述べられていますね。例えば、上記文章によると、「通帳を保管していたのが被相続人である・・・」、と書かれております。誰が通帳を管理していたのかというのは、名義預金になるかどうかの判断材料として重要ということです。
さらに、「名義人が預金をひきだしたことを示す証拠はなく・・・」、とも書かれております。これは反対に解釈しますと、名義人自身が預金を引き出してお金をつかっていたということが証明できれば、名義預金にはなりづらくなる、ということでもあります。
ご参考にしてください。