贈与税の納税猶予と相続時精算課税の関係

同一の年に相続時精算課税と贈与税納税猶予の適用を受ける場合には注意をしなければなりません。農地以外の財産について相続時精算課税を適用し、農地については贈与税納税猶予を適用することは可能です。しかし、農地を別枠にしないでそれぞれの農地について一つは相続時精算課税を適用し、もう一つは贈与税納税猶予を適用することは出来ません。

また相続税納税猶予を受けた人が子供に対して贈与し、その子供のが贈与税納税猶予を連動して受けた場合には、当初の相続税納税猶予は免除されます。しかし、贈与を受けた子供が相続時精算課税を適用すると相続税納税猶予は打ち切りになります。

また同じ年に二人の推定相続人に対して農地を贈与すると、贈与税納税猶予は受けられません。一括贈与をする必要があります。

さらに別々の年に推定相続人に対して贈与をする場合であっても、1回目の年に相続時精算課税を適用したら2回目の年に贈与税納税猶予を適用することは出来ません。

このように相続時精算課税と贈与税納税猶予は関連していることから注意をしなければなりません。なかなか難しい問題ですので、相続税に強い小牧市の税理士 舩橋信治 にご相談いただければと思います。

生前贈与加算と納税猶予

贈与税の納税猶予を受けているケースで贈与者が死亡した場合には、生前贈与加算との関連に注意しなければなりません。この場合二つのケースに分けて考えることができます。

一つ目。贈与税の納税猶予を受けたまま、その贈与者が死亡した場合。

二つ目。贈与税の納税猶予が打ち切られた後に、その贈与者に相続が発生した場合。

一つ目の場合。贈与者の死亡時に納税猶予の適用を受けている場合です。この場合の農地等については、受贈者がその贈与者から相続または遺贈により取得したものと考えます。またその贈与者の死亡日の価格により相続税が計算されることになります。さらにこの状態であれば、相続税の納税猶予も引き続き連動して受けることが出来ます。

二つ目の場合。贈与者の死亡の日前に納税猶予がなくなり、その贈与者である被相続人から相続または遺贈により財産を取得した場合です。(納税猶予がなくなったことを「納税猶予の期限が確定する」といいます)この場合の期限の確定した農地等については、生前贈与加算の規定により、相続税の課税価格に加算されることになります。この場合の価格は、贈与の日の価格をつかいます。さらに期限の確定した農地等については、相続税の納税猶予をうけることが出来ませんので注意が必要です。この話は、農地等の一括贈与者が贈与者の死亡前3年以内に起こっていることを前提としています。

納税猶予における贈与税と相続税の関係

納税猶予には、贈与税と相続税があります。この二つは、密接に関係しております。たとえば贈与税の納税猶予を受けていた場合には、その贈与者が死亡すれば、猶予されていた贈与税が免除されます。そして受贈者は、贈与者から相続または遺贈によって取得したものとみなされます。

次に受贈者は、贈与者が死亡しているので相続人という立場になります。このときに相続人となった者は、相続税の納税猶予の特例を選択することも出来ます。もちろん選択しないことも出来ます。

相続税の納税猶予を受けた者は、子供などにその猶予を受けた農地等を一括贈与すれば、猶予されていた相続税は免除されます。このように相続税の猶予と贈与税の猶予を連結させていけば、半永久的に納税の猶予を受けることが可能となります。しかしそれは現実的ではないかもしれません。どこかの引き継ぎの場面で猶予を受けないという選択をするときがくるでしょうね。

納税猶予を受けた相続税は、その農業相続人が20年間農業を継続した場合に免除されます。しかし、特例農地等に都市営農農地が含まれている場合や平成21年12月15日以後相続の市街化区域外の農地・採草放牧地は除かれます。

相続税の納税猶予の概要

相続税の納税猶予の概要について簡潔に以下に述べます。

まず相続人が農地等を相続または遺贈により取得して農業を営む場合には、一定の要件のもとに、特例農地等の価格のうち農業投資価格を超える部分に対する相続税が免除されます。免除される日は、以下のいずれか早い日となります。

①農業相続人の死亡の日

②相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日

③ ①または②のいずれか早い日の前に、農業相続人が特例農地等の全部を農業後継者に一括贈与した場合には、その贈与の日

平成4年1月1日以後に開始した相続については、特例農地等に都市営農農地等を含む場合は、20年営農による免除はありません。

平成21年12月15日以後の相続により取得した市街化区域外の農地または採草放牧地も20年免除が廃止され終身営農とされました。

市街化区域内の農地または採草放牧地は、20年営農により免除されます。

これらの免除を受ける前に、農業相続人による農業経営の廃止や、特例農地等の譲渡、転用、買取の申し出等があった場合には、納税猶予されていた相続税の全部または一部を利子税とともに納付する必要があります。